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ごあいさつ。


こんにちは。登山ガイド・スキーガイドのたむ屋マウンテンです。
どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ。
                                                   たむ屋マウンテン/田村茂樹



2017/10/19

今年は往復。~黒部川下の廊下 前編~

今年もこの季節がやってきて、黒部川の下廊下に行ってきました。今年は機会に恵まれてなんと往復です。行き(下り)はお天気がいまいちだったので、登りの写真を中心に書いていこうと思います。

なかなかこれまで行く機会がありませんでしたが、欅平の橋を渡って、前泊地の祖母谷温泉に向かいます。
その昔は人の入れないところだった欅平も今は観光地でこの先しばらくは一般の遊歩道。
とはいえやはりこういうところから黒部の厳しさを窺い知ることができます。
遊歩道を開ける前には崖上部の浮き石を予め落としていますが、それでも何が落ちてくるかわかりません。
備えあれば憂いなしです。

砂防堰堤で寸断されてしまってはいますが、それでもなお美しい渓谷です。
こちらから白馬唐松の縦走をやってみたいと思い続けて2年。。。行きたいなぁ。
この日の宿、祖母谷温泉。
阿曽原から雨に降られて着いたので、乾燥室がないのはちょっと困りました。



さて、それまでの予報より早くに前線が南下してくれたおかげで翌朝から期待大です。

川上の阿曽原温泉に向かっていざ出発!

ちなみに手前の2つの建物は黒部川第三発電所と新黒部川第三発電所です。第2次世界大戦中に強引に工事を進めて造られた仙人池ダムから水を落としてここで発電しています。戦後になって黒部ダムが造られ、より発電のための水を有効に使えるようになって新黒部川第三発電所も建設されました。
ここから水平歩道まで一気に蜆坂の300mの登りです。
蜆坂という名前ですが、蜆が取れるわけではありません。気になった方は調べてみてください。
これもまた黒部の電源開発を物語る地名のひとつだと思います。
雨上がりで木々の緑が美しいです。
展望台まで来ると、唐松岳から鑓ヶ岳あたりが晴れてきて、清々しい朝でした。
鹿島槍方面ももう一息です。
ここからいよいよ水平歩道です。
ぼっかの都合から、水平の部分を長くとって歩きやすく造ってあります。
中にはこんなトンネルもあります。
わかりにくいですが、トンネルになる前には岩壁に杭やワイヤーで桟橋を造った跡が残っています。
下の廊下は、黒部峡谷の厳しさや美しさを見せてくれる大自然の道であると同時に、
黒部の開発の歴史を感じさせてくれる歴史の道でもあります。
黒部三大岩壁のひとつ、奥鐘山西壁が見えてきました。
黒部開発の歴史においては、仙人谷ダムに向けてトンネル掘削をしていた当時、
志合谷にあった宿舎の2階以上の部分がまだ未知であったホウ雪崩に遭って
600m先の対岸のこの壁まで吹き飛ばされたことでも名を知られています。

その宿舎跡がまだあるらしいのですが。。。

さて、その志合谷を今の水平歩道が横切るところです。対岸に突如として穴が空いて道が
始まっていますが、谷の中にも道形があるように見えます。
谷の中はこんな感じで、雪渓は遅くまで残るし、ガレもひどくて足場も悪いしということで、
結局トンネルを掘ったようです。

さすがに沢の下なので、水に浸かる部分も多いです。



志合谷を抜けてしばらく行くと今度は大岩壁をくりぬいた大太鼓です。

もちろん足を踏み外せば黒部川の本流まで真っ逆さま。
黒部に怪我人なしといわれる所以です。
今でもザックの引っかけには要注意です。
谷の狭さから断崖絶壁のすごさがよくわかります。
結構歩いたかと思いきや、谷に入ったり尾根に出たりを繰り返しているので
欅平からまだこれだけしか離れていません。

さてさて今度は折尾谷右俣。
雪崩でつるつるに磨かれた斜面が対岸に見えます。
おそらく層理面もこの斜面の向きになっているのでしょう。
ここも短いですがトンネルを潜ります。
スリップ注意!!
左俣には大滝がかかっています。
ここを過ぎるとまた少し長閑な道に戻ります。
おっとマムシ!!
帰る日だったら捕まえて帰るところですが、まだ先があるのでこの日は見送りました。
ちょっと登り下りの末に、阿曽原温泉が見えました。
到着~
テント場脇にはトロッコ上部軌道(関電専用軌道)の坑口があります。
小屋も当時の宿舎跡上にプレハブで建てられていますので今度見てみてください。



続く。。。

 
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